2011年3月7日月曜日

妖怪絵巻 別冊太陽

妖怪絵巻 別冊太陽


地元の繁華街に最近出来た日本一?でかい本屋で買ったもの。
資料用に買ってみました。
カラー刷りの百鬼夜行や絵巻物は迫力がありました。
好きな作家さんのコミックにもなっていた土蜘蛛草紙の現物もあったり、
稲生物怪録絵巻や、閻魔大王が何故か地獄で責苦に合う話、
浦島太郎の細部の異なる版の絵巻(乙姫が助けた亀の化身で、竜宮城が孤島の上にあるとか)
鳶がベースになっている羽あり天狗たちの愉快な療養風景など
怖い可愛い不気味ユーモアのミックスジュースでした。

個人的に好きだったのは巻末の黄表紙のユーモアキャラクター妖怪たちのコーナー。

異形だけど愛嬌あるひとでなしたちはやはり良いものです。

2011年2月22日火曜日

人間はガジェットではない  白と黒「だけ」じゃないバランス感覚の大切さ

人間はガジェットではない (ハヤカワ新書juice) ジャロン ラニアー著 早川書房



少し前にツイッターのフォロアーさんの1人からこんな問いをもらいました。
「セカンドライフの場合かなりの労力をつぎこまないと匿名のパーソナリティが得られず、
そのパーソナリティに大きな価値がある点が異なるのだろう」

何と異なるかというと、
「スラッシュドットにコメントする人々やウィキペディアで編集合戦をする人々とくらべると」
とのこと。
これに解説してほしい、と。

私ははて、そんな気の聞いたことつぶやいたっけ?と思いつつ、
セカンドライフで今も遊び続けている者として、
SL(セカンドライフ)の持つであろう匿名のパーソナリティの特徴を挙げました。
あとで話を聞くと、この一説はとある本からのものと判りました。
宇宙人にさらわれて記憶を操作されたのではないとちょっと安心しつつ、
その本が気になりました。

私の信条の1つに『新鮮な楽しさは常に自分の外にある』というものがあります。
もともと、マニア的にじっくりと1つのことに根掘り葉掘り取り掛かるのが好きな性分ですが、
その手の方式で行くと世界がどんどん狭くなります。
そんなとき、昔からやっていたのは本やメディアのジャケ買い。
特に友人たちの話題になったことからその情報を調べてみるというものでした。
そうすると、また新しい面白いことと出会うのです。

これは久しぶりに良い機会だと、
(ツイッターからは以前も面白い本と出会えました)
その本を購入して読んでみることに。

新書なんて久しぶりだな~
私の新書のイメージとは内容は薄く読みやすい分、簡潔に構成されていて
新しい情報の入り口になりやすいというものでした。
この新書、値段や厚みが並みの(新書の)倍はありました。
内容もまぁ・・・難しい。
泣く子も黙って革命すら支援してしまう今のネット世界やそれをとりまく環境への
「おいおい、偏りすぎとちゃうの、それ」と意見するという話。
著者はバーチャルリアリティという言葉と概念の生みの親で、
非常に博学なのが判りました。
と、同時に私のような門外漢にも自分の言いたい事を丁寧に何度も戻っては
概約を提示しながら書き進める姿勢に安心を憶えて読み進めました。

私の関心としてはフォロアーさんに問いかけられこと、
①セカンドライフの匿名のパーソナリティとは何ぞや、と
②スラッシュドットのコメントやWikiの編集合戦と何を比べているのか。
あとは、③この著者が言いたい事、テーマはなんだろ、でした。

①に関しては本編のテーマではないのでネタバレにならない(と思う)
先の引用箇所はネットの世界に絡む負の部分、著者の言葉を借りるならば
「幼児成熟」の影の部分である「匿名の悪意」についてのくだりでした。
著者はそれを『トロール』と呼称していました。
②はまさにトロールのことを言っています。
で、①は「幼児成熟」の光の部分に通じるものでした。
セカンドライフの匿名のパーソナリティというのは、
SLを知らない人や「終わった」と信ずる人には判りにくいものですが、
著者の本文から推論をすると
「簡単にできない創作活動とコミュニティ」なのかな、と察します。

要するに引用部分の内容はトロールとその生態・居場所について語り、
セカンドライフはトロールが生育しずらい世界の例で取り上げられたものでした。
・・・悪口でなくてほっとしましたw

③に関してはネタバレ以前に本文の中で繰り返し繰り返し章の終わりにまとめているので、
それは読んでのお楽しみ、としていただこうか、と思います。


私は内容はともかくも著者の二元論や全体主義にとらわれないバランス感覚、
慣用の奨めのような考え方にいたく感心いたしました。
本文ではある現代の主流になりつつある考え方について意義を申し立てて、
異なる価値観を提示しています。
でも、その攻撃している考え方も「考え方の1つ」として認識し、
それを使うことでの利点も挙げています。

私は不寛容が主流になってゆく当節の世界にあきれ果てて、
「天邪鬼」を自称して寛容の道を探しているので
「否定せず受け入れ、使うこともいとわない」姿勢がかっこよかったです。

テーマに関してはきっと異論も多数あると思いますが、
私は「可能性はあります」という意見ですw
現代のネットサービスを客観視してみるには面白い本です。

2011年1月24日月曜日

トーキョー博物誌 東京動物観察帳② こちらのほうが最初らしい

トーキョー博物誌 東京動物観察帳② 日高トモキチ著 産経新聞出版


巻末の記事を見ると、①よりこちらのほうが先に作られたものらしいです。
2話め、一番最初の作品での「ぼてっとしたコウモリのイラスト」が好きです。
黄金バットのネタはツボってしまいましたw
(昭和ライダーやウルトラネタに弱い)

テーマパークである動物園や植物園、世界遺産とはまったく無縁の近所の自然。
それを共にこの地に生きる同士、として私は注目してしまいます。
あまり、同じコミックを読み返すことが減ってきたのですが、
これはたまに本棚から取り出して読み返してしまいます。

こちらで紹介されている生き物は下記のものです。
 ツバメ
 コウモリ
 カワセミ
 マムシ
 キジ
 イモリ
 モグラ
 キツツキ
 サギ
 ドジョウ
 インコ
 ガマガエル
 アゲハチョウ
 スッポン
 カイツブリ
 ザリガニ
 カルガモ
 コガネムシ
 ホタル
 ヤモリ
 タイコモチ
 ホンドタヌキ

2011年1月23日日曜日

トーキョー博物誌 東京動物博物誌① 共に生きるものたち 

トーキョー博物誌 東京動物博物誌① 日高トモキチ著 産経新聞出版


私の趣味の1つに通勤途中の道で雑草や野良動物の定点観測があります。
雑草の生え具合やうつろい、雀やカラス、猫やイタチなどのうろうろ具合を見ています。
同じ地域に住む生き物たち、
特に誰に請われることもなく生きている連中を見ること。
これで私は生きる勇気をもらいます・・・すんません、好きなだけですw

これはアマゾンで「おすすめ」で紹介されて(とりぱん買ってたからだと思う)
中身検索で1話分を見て気に入って買いました。

本文は東京に棲む生き物たちをこまやかに紹介しつつ、
作者の対象物への愛も感じるホンワカしたものでした。
昭和なマニアネタのボケも小気味よく楽しめました。

紹介されているのは下記の生き物たち
 ネコ
 コシアキトンボ
 カナブン
 アサガオ
 カブトムシ
 ユリカモメ
 アブラゼミ
 ナンバンキセル
 ミズクラゲ
 アリジゴク
 ヒガンバナ
 コカマキリ
 ナマズ
 秋の七草
 オニフスベ
 ハクセキレイ
 イチョウ
 カキ
 ムクドリ
 ドブネズミ

2011年1月20日木曜日

「アイデアの作り方」 古典だけど親近感のある部分もありました

「アイデアの作り方」ジェームス W.ヤング著 
帯に付いていたキャッチコピーは「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」
ツイッターで紹介されていた本で、おもしろそうだなー、と
通販のページでブックマークしていたのをついでの買い物があり購入しました。



ページは確かに少ないけど、本の作りはしっかりしていました。
通勤カバン代わりのナップサックにほおり込んでも安心。
内容は「アイデアはこういう法則で生まれる」というもの。
面白く読破しました。

本自体は88年に刊行されたもの。
その時点で既に「古典」と称されているので
「何を今更」と言う話が多いのかな、と思っていました。
ところが自分の体験と重なるところもあり「なるほど」とうなずくことも。

その昔、私は友人から
「よい案が浮かばないときにはじっくり考えてから寝るといい。
 朝にもう一度考えるとその答えが出てくる」というのを聞いていました。
で、それが本当であることを何度も実感しました。
(大したことで悩んでいないからかもしれませんがw)

この本では「わかったぞ」という瞬間はそんな感じで起こるとあり、
その下準備を綿密にすることが自分の意志でできるのでがんばれwという内容。
解説ではさらに進んで意志の元で練り上げることを勧めていました。

ネットもパソコンも無い時代の文章なので当節のご時世からすれば
具体的な指南が古臭くはなっています。
それが幸いして、『目先の言の葉を追わず、本質を見る』ことが必要になるので
頭の体操としても有効です。
「要するに、こうなるのがゴール」がわかっているのだから、
当節の溢れんばかりの情報の波と向き合う指針ともなります。

新しいアイデアを求められる様々なジャンルに通じる概念を示した本で、
シンプルな基礎構造(私的にもシンプルなことはすばらしいこと)は
発想することの原点に立ち返らせてくれます。
帯のコピー、「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」は伊達ではありませんでした♪


蛇足ですが、数年前から頭を鍛えようと、
個人的に三色ボールペンを使った情報整理の癖をつけていました。


この本の説明でも無意識の概念が出てきていて、
「あ、この本の元ネタの1つにたどりついたか」という思いもありましたw
この方法、とても私にとっては有意義なものになりました。
1つだけ癖にしたためにデメリットがありました。
・・・電子手帳が使えなくなった事ですwww
アナログの方が速くなってしまったので。

おかげさまで、周りはみんなアイホンなのに1人リフィル使っています。